INTERVIEW インタビュー

トヨタ自動車
アンテロープス /

山本 麻衣

TOYOTA Antelopes / Mai Yamamoto

自分らしいプレーでバスケットボールを楽しむ

大切なのは自分の身体を理解すること

2024.04.17

バスケットボール選手「トヨタ自動車アンテロープス/山本 麻衣」選手

インタビュー・文=三河賢文 写真=島崎信一

まずは自分の身体の状態を知ること

インタビューに答える、バスケットボール選手「トヨタ自動車アンテロープス/山本 麻衣」選手
バスケットボールを始めたきっかけと、トヨタ自動車アンテロープスへの入団を選んだ理由を教えてください。

山本私がバスケットボールを始めたのは小学校1年生のとき、姉がバスケットボールクラブに入るタイミングで、一緒について行ったのがきっかけです。母親が元バスケットボール選手だったので、小さい頃からバスケットボールには触れていました。
実は父親が元男子バレーボール選手ということもあって、最初はバレーボールを始めたのですが、同じ時期にバスケに触れるようになったら、そのまま中学校、高校を経て、ずっとバスケットボールをしています。

高校は愛知県名古屋市にある桜花学園高等学校に進学し、在学中には全国優勝も経験しました。その後、同じ愛知県を拠点とするトヨタ自動車アンテロープスへ入団して今に至ります。実のところ、当時はもう1つのチームと迷っていました。しかし、開幕戦を観戦したときに感じたチームの雰囲気に惹かれ、トヨタ自動車アンテロープスを選びました。ヘッドコーチもしっかり指導してくれるし、仲間たちと切磋琢磨しますが、みんなバスケットボールをちゃんと楽しんでプレーしている。トヨタ自動車アンテロープスは、そんな雰囲気が魅力のチームです。

インタビューに答える、バスケットボール選手「トヨタ自動車アンテロープス/山本 麻衣」選手
Wリーグで活躍しつつ、さらに日本代表選手としても活動されている中、高いコンディションを維持するのは非常に大変だと思います。日頃から、コンディション管理ではどのような点に気を付けていますか?

山本Wリーグ(日本女子バスケットボールのトップリーグ)は、10月~4月中旬までがシーズンです。オフシーズンにはWリーグの試合がないので、この期間は代表選手としての活動に入ります。ほぼ1年を通じて練習や試合をこなすことになるので、何よりも準備を大切にしています。1年間を通じて、大きなケガなく過ごすことが大前提の目標なので練習に入る前はしっかり準備しますし、そのお陰で大きなケガをしたことはありません。

インタビューに答える、バスケットボール選手「トヨタ自動車アンテロープス/山本 麻衣」選手

いつも練習前は、必ず身体の状態を知ることから入ります。どこの筋肉が張っていて、どこが詰まっているのか確認してほぐしてから、補強トレーニングなどを行うといった流れです。例えば9:30から練習があれば、7:40頃には体育館に到着して、7:45~9:00で身体の状態を確認。そして、練習の30分前頃からシュートを打ち始めるようなスケジュールです。そして、練習や試合後も、自分の身体がどう変わったのかストレッチ前に感じ取るようにしています。

また、食事にも気を付けています。葉物などを積極的に摂取し、バランスの良い食事にすること。また、タンパク質は三食以外でも取り入れるようにしています。疲労回復など高いコンディションを維持するのに、食事はとても大切ですから。

コンビネーション治療器で治療中の、バスケットボール選手「トヨタ自動車アンテロープス/山本 麻衣」選手
バスケットボールは、どのような部位に痛みが出ることが多いのでしょうか? 日常的なケアの方法と合わせて教えてください。

山本練習や試合で疲労が溜まってくると、主にアキレス腱に痛みが出てくる傾向があります。自分自身の特徴として、左足を軸としたプレーが多く、他の部位より負担が大きくなっているからだと思います。

常に万全な状態でプレーしたいので、自分の傾向を加味しながら入念にケアを行い、痛みを出さずフレッシュな状態で臨めるよう工夫しています。また、体育館によっては床の硬さに違いがあって、床が硬いと痛みが出やすくなるので、プレーする環境の変化にも注意を払っています。

また、自覚する痛みがなくても、知らないうちに疲労が蓄積しているかもしれないので、痛みの有無にかかわらず、超音波を当てるなどトリートメントも大切にしています。現在、合宿や大会も痛みなく良い状態でプレーに集中できています。

身体をセルフケアすることは自分にとって、良い状態で、より長く、高いパフォーマンスを示し続けるためにも必要だと思っています。

自宅でのケアも取り入れてケガを予防

インタビューに答える、バスケットボール選手「トヨタ自動車アンテロープス/山本 麻衣」選手
物理療法機器を使うようになり、以前と比べて何か変わったことはありましたか?

山本私が治療器を初めて使ったのは中学生の頃で、接骨院に行ったときでした。でも、その頃はメンテナンスや治療のとき使うだけだったので、高頻度で使用するようになったのは最近です。

治療器を使うのは、ケガの治療というよりもケガの予防、慢性的な痛みを持たせないことが大きな目的です。
シーズンを通してプレーをする大前提として、常に良い状態を維持すること。仮にケガや痛みで自分自身が練習できないことになったら、自分の練習ができないことも良いことではないですし、チームで合わせる練習にも影響がでると考えています。こういったことから、自分の身体と向き合うことは、コートに立ち続けるためにも当たり前だと思っています。

また、自分もチームの成長にも全員がそれぞれコンディションを維持していくことは強いチームをつくる上でも重要な要素だと感じています。

コンビネーション治療器で治療中の、バスケットボール選手「トヨタ自動車アンテロープス/山本 麻衣」選手
クラブで行う練習前後のケア以外にも、治療器を使うことはありますか?

山本私は個人でも持ち運べるタイプの治療器を持っています。試合で移動時間が長いときなどには、こちらの治療器を使用し、マイクロカレントを当てると筋肉の準備になると聞いたので、ケガの予防はもちろん、良い動きができるようにという目的で使用しています。
自宅にあることで、必要なタイミングにいつでも使えるのも良いですね。

インタビューに答える、バスケットボール選手「トヨタ自動車アンテロープス/山本 麻衣」選手
トップアスリートに限らず、セルフケアは必要だと思いますか?

山本そうですね、年齢に関係なく必要だと思います。例えば私の使っている持ち運べるタイプの治療器は、1台でTENS、EMS、MCRという3つの電気刺激が行えます。

セルフケアをすることは、結果的に自分の身体を理解するきっかけとなり、ケガの予防やパフォーマンスの向上に結び付いてくことだと思います。

身体づくりへの理解は、バスケットボールに限らずどのスポーツにおいても、まず自分の身体に興味を持つこと。そのためにも、できうる手段でセルフケアを始めてみるのは良いのではないでしょうか。

世界を舞台に自分らしいプレーでバスケットボールを楽しむ

インタビューに答える、バスケットボール選手「トヨタ自動車アンテロープス/山本 麻衣」選手
最後に、これから選手として取り組みたいこと、今後の展望や目標などを教えてください。

山本ずっと先の将来ですが、ちゃんとバスケットボールをやり切ったら、何もせずゆっくり過ごす時間を持ちたいと思っています。でも、今はまだ早いと考えていますので、しっかりバスケットボールで結果を残せるよう力を磨きます。そのうえで、まず目指すのは夏の国際大会で代表に選ばれることです。そして、しっかりケガなく、自分らしいプレーを出したいと思っています。

また、将来的にはWNBA(アメリカ女子プロバスケットボールリーグ)への挑戦も考えているので、それに向けて身体もしっかり準備していきます。どんなときも思い切りのあるプレーを忘れず、多くの方々にバスケットボールを楽しんでいる姿をお見せしたいです。

バスケットボール選手「トヨタ自動車アンテロープス/山本 麻衣」選手
山本 麻衣 (やまもと・まい)

1999年10月23日生まれ。広島県出身。
トヨタ自動車アンテロープス所属。
家族全員がアスリートという環境の中、小学校1年からバスケットボールを始め、小、中、高でそれぞれ全国優勝を果たす。
高校在学時にアーリーエントリーでトヨタ自動車アンテロープスに加入。2020〜21シーズン、2021〜22シーズンとリーグ2連覇を達成。
3人制バスケット・3x3においても日本代表に選出。2019年のU-23ワールドカップ優勝・大会MVP獲得、東京2020オリンピック5位入賞と活躍する。
パリへの切符を懸けたオリンピック世界最終予選で値千金のシュートを決め、日本を3大会連続の五輪出場へ導く。