村田
亜由美
Ayumi Murata
浸透する物理療法
選手が感じる確かな効果
2010.06.28

選手とコミュニケーションをとりながらの物理療法

- 村田先生はいつからトレーナーを始められたのですか?
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村田大学1年の時に、陸上競技部の学生トレーナーとして始めました。当時は、トレーナーとしての知識は当然なく、また指導をしてくれる先生もいなかったので大変苦労しました。
- それでは、どのようにして、トレーナーとしてのスキルをアップさせていったのですか
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村田テーピングやストレッチなどのトレーナーとしての基本は先輩から教わりました。また、インカレなどでは、スポーツメーカーのトレーナースタッフが選手のケアにいらしていたので、そこでも色々と教わりました(そのとき教わったトレーナーが現在の職場リニアートの代表増田トレーナー)。また、トレーナーの早朝勉強会などにも参加して、知識を深めていきました。
- 大学卒業後、2年間の実業団チームでのマネージャーを経て、「リニアート」に入社しアスレティックトレーナーとして、本格的に始動された村田先生ですが、陸上競技日本代表チームに携るようになったのはいつからですか?
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村田2006年のドーハ・アジア大会からです。それまでも、日本陸上競技連盟トレーナー部の一員として、陸上競技に関わってきました。
- 実際に、陸上選手との関わりが深まるにつれて、他の競技の選手との違いを感じることはありましたか。
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村田陸上競技の選手は、他のスポーツ選手に比べて繊細な面がありますね。物理療法機器を使用するにも、この治療器は「今までと何が違うのですか」、「どういう原理でどういう効果があるのですか」と聞いてくる選手もいます。
- そういう時は選手に対してどのように対応されるのですか?
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村田今までの知識や、物理療法であればメーカーの方に教わった治療器のメカニズムなどを話します。選手たちは自ら納得しないことには、受け入れないことが多いのですが、きちんと説明をすると、それでは使用してみたいとなることが多いです。
- トレーナーの方から、これが効くからやってみろとかではなく、選手にきちんと説明をして、納得してもらって治療を行なっているのですね。
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村田そうですね。その結果、選手も使用して効果も実感して、セルフケア用に「携帯型小型電流刺激装置」を個人で使用する選手がかなり増えました。
より効果的なケアへ

- 効果のあるケアを行うために選手とのコミニケーションは重要ですね。
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村田はい。選手とトレーナーの間には信頼関係が必要ですし、そのためにコミニケーションは欠かせません。これが出来ていれば、選手とトレーナーが感じることが共有でき、よいケアをすることができるのではないかと思います。このような選手との信頼関係は、今までに日本代表チームに関わっててきた、多くの先輩トレーナーの皆様のお陰と実感しています。
- それでは、実際にトレーナー活動にあたり、物理療法をどのように活用しているかをお伺いします。
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村田私たちトレーナーが選手に帯同するときは、試合期と強化トレーニング期に分かれます。試合前であれば、コンディションを高めるためのサポートを行いますし、強化トレーニング期であれば、疲労・痛みの回復のためのサポートを行います。
- どのような手法を取られるのですか?
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村田マッサージ、ストレッチなどの徒手療法と物理療法(「超音波・電流コンビネーション治療器」)を使用してケアを行います。
- 「超音波・電流コンビネーション治療器」は超音波治療と電気刺激が搭載されています。どのように使い分けられていますか?
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村田エネルギーの特性を考えて、症状によって使い分けています。また、刺激が苦手な選手がいたりなど、好みもあります。そんなときは、多くの電気刺激が搭載されている「超音波・電流コンビネーション治療器」は違う対応もできるので、助かります。
- 例えば、強化トレーニング期などの筋肉疲労の対策として、物理療法はどのように使用しますか?
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村田筋張った筋肉や拘縮が強い症状においては、Hi-Voltageを使用して、患部を動かしながら取っていくことを1つの手段として行います。全体的な張りには、広範囲を刺激できる干渉波モード、ピンポイントの痛みや張りなどには、超音波を使用することがあります。
- 物理療法に対して、選手の反応はどうですか
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村田「超音波・電流コンビネーション治療器」を使用してから、3年くらい経ちますが、最近では選手のほうから、「この間行ったあの治療をやって欲しい」などのリクエストも来るようになりました。それだけ、効果を実感しているのでしょうね。
北京オリンピックでの手応え
- 2008年の北京オリンピックでの物理療法を使用した具体的なエピソードはありますか?
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村田春先にハムストリングを肉離れをした選手が、大会前に再度肉離れを起こしました。 2度目の肉離れのときには、代表チームでケアをしましたので、「超音波・電流コンビネーション治療器」はフル活用しました。 ケガの直後はマイクロカレントモード+RICE処置、その後、血流を促進する目的で超音波を使用し、さらに筋への刺激を目的に超音波+電気刺激モードを使用しました。本人は、1回目の時より、「超音波・電流コンビネーション治療器」を使用した2回目の方が回復が早かったと実感していました。
- 最後に先生がトレーナーを始めた時と、今現在、物理療法のイメージはどのように変化しましたか?
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村田最初は物理療法に対して当然知識もありませんし、手を出しにくいものでした。徐々に先輩トレーナーから話を聞いたり、自らも試したりと段々身近に感じてきました。また、トレーナー活動を行う上で、簡易化された製品はとても助かりますので、「携帯型小型電流刺激装置」や「超音波・電流コンビネーション治療器」はとても戦力になっています。

大学在籍中、陸上部学生トレーナーからスタート。 大学卒業後は、2年間の実業団チームでのマネージャーを経て、「リニアート」へ入社。アスレチックトレーナーとして様々な大会の場で陸上選手をサポートする。
経歴:アジア夏季ドーハ大会 陸上競技トレーナー(2006)/世界陸上競技選手権大阪大会日本チームトレーナー(2007)/北京オリンピック 日本代表選手団 陸上競技トレーナー(2008)/他