INTERVIEW インタビュー

髙橋 藍

Ran Takahashi

バレーボールを夢のあるスポーツにしたい

常に高いパフォーマンスで練習・試合に臨む

2023.09.02

プロバレーボール選手「髙橋 藍」選手

インタビュー・文=三河賢文 写真=戸田麻子

世界との壁を感じ、セリエAの舞台へ

インタビューに答える、プロバレーボール選手「髙橋 藍」選手
現在、日本体育大学に在学しながらイタリア・セリエAで活躍されていますが、なぜイタリアでプレーすることになったのでしょうか?

髙橋私は小学校2年生から兄の影響でバレーボールを始め、高校では3年生のときに全日本バレーボール高等学校選手権大会で優勝しました。同年に日本代表登録メンバーに選出され、日本体育大学に進学。大学では全日本インカレで準優勝を果たしたのですが、翌年に世界を舞台にプレーしたのがきっかけです。実際に海外でプレーしてみて、まだまだ世界との壁は厚く、力の違いが大きいと感じました。悔しい気持ちの中、もっと経験を積んでいかなければいけないなと。それで、トップ選手たちと戦える環境に入りたいと思い、大学に相談してイタリアでの挑戦を決めたんです。

インタビューに答える、プロバレーボール選手「髙橋 藍」選手
実際にイタリアでプレーしてみて、どう感じましたか? 言葉の壁もあると思うのですが、環境に慣れるまでに難しさを感じた点もあれば教えてください。

髙橋イタリアでプレーしていると、常にトップ選手と戦えます。また、一緒にプレーする周りのチームメイトも、素晴らしい選手たちばかりです。そういう高いレベルの環境だからこそ、もっと伸びていけるなと感じますね。自分自身、いろいろな選手とコミュニケーションを取りながら、一つ一つのプレーを大切に取り組んでいます。日々さまざまなことを感じ、そして学べている環境です。国による違いは多々ありますが、気持ちの面で自分の意志を大切にし始めました。

言語力については、実際のところまったく勉強していなかったんです。だから、最初は伝えたいことが伝わらず、相手から言われたことも分からない状態でした。そうなると、周囲から信頼を得ることが非常に難しいんですよね。それで、シーズン後から勉強にも力を入れるようになり、やっと話せるようになりました。現在はチームメンバーや監督から信頼されるようになりましたし、戦術なども分かるようになっています。チームの軸として活躍するためには、やはり言語によるコミュニケーションが欠かせません。

短期間で話せるようになったのは、かなり努力されたのでしょうね。だいたい、通常はどのようなスケジュールで練習などを行っているのですか?

髙橋基本的には日曜日か土曜日に試合があるので、月曜はオフということが多いですね。火曜日と水曜日、金曜日は午前中にウェイトトレーニングと少しボール練習を行い、午後も練習。木曜日だけは練習が午後だけなので、午前中はオフになります。日曜日にアウェーで試合があれば、土曜日に移動するというイメージです。

身体の土台作りが選手としての未来を変える

インタビューに答える、プロバレーボール選手「髙橋 藍」選手
連日の練習と試合をこなされる中では、コンディション維持も大変なのではないでしょうか。具体的に、何か意識して取り組まれていることはありますか?

髙橋毎日、自宅ではストレッチを行ってリカバリーしています。また、必要な栄養をしっかり補給するため、食事管理は徹底していますね。練習後は自宅に帰って、治療器を使ったセルフケアも行います。バレーボールは跳ぶスポーツなので、膝や下半身への負担が大きいんです。だから、特に痛めやすい場所は、すぐ回復させるようにしています。ケアの意識は常に持っていて、これまで大きなケガはありません。強いて言えば捻挫くらいですね。

特に、海外だからこそセルフケアは大切です。日本はとても便利で、施設内にリカバリーのためのプールを含め、環境が整備されています。でも、海外だとそこまでケアする環境がありません。日本より入念には行ってくれないので、セルフケアが中心になるんです。海外でプレーするようになり、日本はそうしたケアなどのサポート環境がとても恵まれているのだなと感じました。

インタビューに答える、プロバレーボール選手「髙橋 藍」選手
セリエAとなると、そうした環境も充実しているのかと思っていました。トップ選手として、コンディション管理の重要性をどのように考えていますか?

髙橋超音波治療器を使用しているのですが、効果を感じ始めたのは去年のことです。治療器そのものは膝を痛めてから知りました。つまり、痛みの治療のために使用したのが最初です。でも、本当なら治療器は、痛くなる前から使うべきだと思います。ですから、現在は日々ケアしながらプレーしています。

小学生や中学生、高校生など若い頃は、ストレッチすら行わなくても十分に動けたんですよね。でも、それは身体が若いからできることじゃないですか。その中でも、実はどんどん負担が蓄積されていて、今になって膝や腰が痛くなっているのだと思います。

日本では小さい頃からスポーツに取り組む子どもが多いですが、一方でケガするケースもよく見られます。年齢を問わず、身体のケアはスポーツにおいてとても重要なこと。ですから、選手としての将来をちゃんと考えるのであれば、いかに早い段階からケアを行うかは非常に大切だと思います。セルフケアだけでなく、治療院でケアするのも身体の負担を減らすのには有効なこと。また、軸を整えるなど、身体の土台を作ることも重要です。それだけで、きっと選手としての未来が変わるのではないでしょうか。

レベルアップには日々のセルフケアが欠かせない

超音波治療器でコンディショニング中の、プロバレーボール選手「髙橋 藍」選手
治療器を使っているとのことですが、初めて使用したのはいつのことでしょうか? 具体的な活用法と合わせて教えてください。

髙橋治療器について知ったのは4年前です。世界大会の際に超音波治療器を使っていました。そのときは練習後や翌朝に痛みがあったり、膝や腱の固さがあったりと、状態が悪かったんです。でも、当時はトレーナーから指導されたとおりに行っているだけでした。その後、自分なりに試行錯誤しながらセルフケアも行い、1年前くらいに現在のやり方に至っています。

今は練習後こそ痛みを感じることはありますが、夜に使用すると朝には感覚が違っていて、膝が楽に感じられます。ですから、治療器は欠かせないセルフケアアイテムですね。基本的には毎日、夜にシャワーを浴びてから、治療器を片膝15分ずつで合計30分。その後、ストレッチして血流を促すようにしています。そのため、だいたい1日のセルフケアに1時間強を割いている感じでしょうか。超音波治療器一つで身体をケアできるので、あとは必要に応じて膝以外の箇所にも使用します。

超音波治療器でコンディショニング中の、プロバレーボール選手「髙橋 藍」選手
自分なりのケア方法を持たれているのですね。髙橋選手にとって、治療器はどのような存在ですか?

髙橋今は、とにかく継続して行うべきものだと考えています。試合が続く中では、常に身体へ負担がかかるのは当然のことですよね。しかし、痛みは日によって違うので、そういうときに治療器を使用すると乗り越えられます。回復も早いですし、シーズンを通して毎週試合があるので、ベストパフォーマンスを維持することが大切です。

もちろん、試合だけでなく練習の中でも、パフォーマンスは高く保たなければいけません。そうしないと、やりたい練習ができないし、目標としている動きが出せませんから。練習が試合に活かされるわけなので、いかに高い状態でレベルアップしていけるか。そして、何よりケガに繋がらないことが重要ですから、そのために日々のケアが必要なのだと思っています。痛みの治療と予防、そしてパフォーマンスアップ。これらすべてのために、治療器を活用しているんです。

より多くの人にバレーボールの楽しさを知ってもらいたい

インタビューに答える、プロバレーボール選手「髙橋 藍」選手
これからの目標、そして具体的に取り組んでいることがあれば教えてください。

髙橋プレーヤーとしては、目前に迫った世界大会が大きな目標です。そのためには出場権を獲得しなければならず、まずは予選が大切になってきます。海外でバレーボールスキルを磨き、さらに日本でもプレーして経験値を高める。一つ一つレベルアップはできていると思うので、もっと上を目指します。

私の強みはレシーブ力なのですが、これは海外でも活きてきています。あとは、精度の高さや安定感、丁寧さといった日本人らしさ。これがあるから、ミスしない選手として評価してもらえているんです。しかし一方で、高さは世界との壁を感じますね。自分より高い選手はいくらでもいますから。その中で勝つためには、スパイクの技術を伸ばし、精度をより高めていくことが必要です。現状の自分に満足せず、常に安定感を発揮していきたいと考えています。

そして最終ゴールは、今までにいなかった選手になることです。私は日頃から、バレーボールを夢のあるスポーツにしたいと思っています。バレーボールをやりたいという子どもが増えてほしいし、これまで興味を持っていなかった人にも持ってほしい。どういう形でバレーボールを好きになってくれても良いんです。では、そのために何ができるのか。その手段の一つとして、SNSでの情報発信にも力を入れています。そうすれば、もっと多くの方々がバレーボールを知ってくれると思うので。

インタビューに答える、プロバレーボール選手「髙橋 藍」選手

もともとバレーボールは、おそらく女子スポーツと認識されていた方が多かったのではないでしょうか。女子バレーは、ボールが繋がるから面白いんですよね。でも男子バレーには、周囲を引きつけるような迫力があります。その上に精度の高い、よく繋ぐし拾えるバレーボールができれば、もっと見ている人が楽しくなると思うんです。最近では、フェイクセットなど面白いプレーも増えました。そうしたパフォーマンス要素も、バレーボールの魅力ではないでしょうか。

SNSに限らず、これからもいろいろな形でバレーボールについて発信していきます。もちろん、試合で結果を出すことも大切です。どんな形でも構わないので、もっと多くの方々にバレーボールを知ってもらい、楽しんで見てもらえたら嬉しいですね。

プロバレーボール選手「髙橋 藍」選手
髙橋 藍 (たかはし・らん)

2001年9月2日生まれ。京都府出身。日本体育大学所属。
兄・髙橋塁(サントリーサンバーズ)の練習についていったことがきっかけで、小学校2年からバレーボールを始める。高校3年時には春高バレーで優勝、大会MVPを獲得。
日本体育大学進学後も全日本インカレ準優勝、東京2020オリンピック出場と活躍を続け、2021年からは大学に在学しながら、イタリアプロバレーボールリーグ・セリエAでプレーを行う。
2023-24シーズンはヴェロ・バレー・モンツァと契約。新たなチームでイタリアでの3年目に臨む。