INTERVIEW インタビュー

新井

真季子

Makiko Arai

強い意志で世界へ羽ばたく

ケガを乗り越えて自分との戦いに挑む

2015.11.13

アルペンスキーヤー「新井真季子」さん

PHOTO:戸田麻子

滑ることが大好きだった

インタビューに答える、アルペンスキーヤーの新井真季子さん
スキーを始めたきっかけを教えてください。

新井父がスキー場で働いていたので、小さい頃からゲレンデが遊び場でした。とにかく滑ることが楽しくて、スキーが大好きでしたね。小学生になると競技に興味を持ち、大会に出場するようになりました。そこで勝つ喜びを知り、本格的にスキーを始めました。

ジュニアの頃から色々な大会で活躍されていますが、どれくらい練習していたのですか?

新井小さい頃は、誰かに教わったという記憶はあまりなくて、自分の思うままに自由に滑っていました。練習するというよりは、遊びの一環という感じでしたね。スキー場では、誰にも負けないように速く滑っていました(笑)。

小学生で海外の大会にも出場していますよね?

新井小学5年生の時に、初めて海外の大会を経験しました。翌年、ウィスラーで行われた世界大会で5位になり、そこから世界を意識するようになりました。海外には自分よりも速い選手がたくさんいたので、世界を相手に戦える選手になりたいと思いました。

オーストリア留学での成長

インタビューに答える、アルペンスキーヤーの新井真季子さん
15歳でオーストリアのスキーホテル専門学校へ留学されていますが、なぜオーストリアに行こうと思ったのですか?

新井高校の進路を考える時期に、コーチからオーストリアのスキーホテル専門学校の話を聞いたのがきっかけです。以前から本場のヨーロッパでスキーをしてみたいという気持ちがあったので、行ってみようと思いました。

学校では、どのようなことを勉強していたのですか?

新井スキーのトレーニングだけでなく、料理やカクテルの勉強、ウエイトレスなどのサービスを学ぶ授業もありました。ドイツ語が分からないままでオーストリアへ行ったので、1年目は言葉を覚えるのに苦労しました。ドイツ語でフランス語の授業があったりするので、初めはさっぱりでしたね(笑)。授業が終わってからも、必死になって語学の勉強をしていました。

オーストリアでの生活はいかがでしたか?

新井寮生活をしていたのですが、毎日、規則正しい生活で、かなり厳しかったですね。6時半には朝食があり、授業とトレーニングをして、夜も勉強する時間が決まっていたので、みんなで部屋に集まってやっていました。外に出られるのは1週間のうち1時間だけだったので、自由な時間はほとんどありませんでした。

インタビューに答える、アルペンスキーヤーの新井真季子さん
留学したことで変化したことはありますか?

新井人脈が広がったので、ヨーロッパの遠征ではアウェー感がなく、メンタル的に良い状態でレースに臨むことができます。ドイツ語が話せることで、海外の選手ともコミュニケーションが取れますし、遠征先でも不便な思いをせずに過ごせるのでストレスになりません。

留学して1年目には全国中学生アルペンスキー大会で、大回転と回転の2種目を制覇されていますよね。

新井その時は学校の課題があり、大会前日の夜遅くまでやっていたので、レースのことはあまり考えていませんでした(笑)。もしかしたら、それが良かったのかもしれませんね。地元での大会だったので、絶対に勝ちたいという気持ちはありました。

自分の身体は自分でケアする

インタビューに答える、アルペンスキーヤーの新井真季子さん
普段は、どのようなトレーニングをされていますか?

新井いつもは大学でトレーニングをしています。今年の3月に膝の靱帯をケガしたので、今はリハビリとトレーニングを自分なりにプランを立てて行っています。シーズン終わりは基礎体力をつけるトレーニングを中心に行い、ウエイトトレーニングなども取り入れて、身体を大きくするようにしています。もちろん俊敏性を上げることも重要なので、速い動きのなかで、いかにパワーを出せるかを考えながらトレーニングをしています。

いつ頃から治療器を使われていますか?

新井オーストリアに留学していた頃に、腰に痛みを感じることがあり、母が治療院で小型マイクロカレント治療器を買ってくれたので使い始めました。以前にも膝の靭帯をケガしたことがあり、その時はコーチに勧められて、小型低周波治療器を使っていました。

インタビューに答える、アルペンスキーヤーの新井真季子さん
どのような時に治療器を使用していますか?効果の実感などがありましたら教えてください。

新井基本的にはケガのリカバリーで使うことが多いですね。痛みがある時にマイクロカレントを使っています。治療器を使うことで、痛みの軽減やケガの回復の早さを実感しています。ヨーロッパには、整骨院などの治療を受ける場所がほとんどありません。シーズン中は常に転戦していて、治療に通う時間もないので、自分の身体は自分でケアしなければいけないと思っています。小型マイクロカレント治療器は、どこにでも持ち歩けて、いつでも治療できるので大変助かっています。大学の授業中もお世話になっています(笑)。

コンディショニングでも治療器を使うことはありますか?

新井今はケガのリカバリーでしか治療器を使っていませんが、レース前に、もう少し力を入れたいなと思う部分へEMSでアプローチするなど、コンディショニングでも治療器を試してみたいと思っています。アルペンスキーのレースは、毎回同じ状況がありません。コースの地形や斜面の角度、雪質も柔らかかったり、アイスバーンの時もあります。特にアイスバーンの時は雪面から受ける力が強く、身体にかかる負担が大きくなります。そういう時は、1本目のレースが終わった後の疲労感をいかにリカバリーして、2本目のパフォーマンスを上げられるかということを考えます。コンディショニングでうまく治療器を活用することができれば、身体の疲労感の回復にも、良い効果が出てくるかもしれませんね。

目標は2018年平昌オリンピック

競技中のアルペンスキーヤーの新井真季子さん
アルペンスキーの魅力について聞かせてください。

新井アルペンスキーは相手との戦いではなく、自分との戦いです。良いタイムが出て、勝った時は本当に嬉しいですし、他では味わえない感動があります。また、スピードを直接肌で感じられる競技なので、爽快感は魅力ですね。

今後の目標を聞かせてください。

新井2015-16シーズンはケガ明けのシーズンになるので、コンディションを見ながらやっていきたいと考えています。ワールドカップに何戦出られるかはまだ分かりませんが、年内にはレースに復帰して、力をつけていきたいと思います。目標は2018年の平昌オリンピックに出場し、結果を残すことです。これから一年一年が勝負になるので、頑張っていきたいと思います。

電気治療器を手にもつ、アルペンスキーヤーの新井真季子さん
新井真季子 (あらい・まきこ)

1993年6月12日生まれ。岐阜県出身。
幼少時からレーシングスキーを始める。小学2年生の時にゴールドウインジュニアナスターレース全国大会で優勝。2005年より海外でのトレーニングやチルドレン大会に参戦し、国際経験を積む。2008年、オーストリアに渡り、スキーホテル専門学校に入学。同年の全国中学生アルペンスキー大会では、戦後史上9人目となる大回転と回転の2種目を制覇。2013年から活動の拠点を日本に移し、法政大学スキー部に所属。2014年、FISファーイーストカップにて大回転の種目別優勝によりワールドカップ出場の権利を獲得。